〈FF生誕&DFF一周年! 其の参・1〉

【次元城・扉の中】
次元城の中に入ったバッツは、万が一呼ばれても聞こえるようにと扉に凭れて座っていた。
手の中には、スコールから預かった鍵
「……あの時は楽しかったなあ」
バッツの言う“あの時”とは、スコールの誕生日の事だ。
クラウドから誕生日プレゼントにと次元城の鍵を貰い、スコールと二人で城の中を探検して宝探しをした日。

バッツ自身も理由は分からないけれど、なぜかスコールと一緒の時には、宙に浮いている次元城にとてつもない恐怖感を覚える。
高い所が苦手とはいえ、足場の悪い塔に登ったり足下を見なければ、まだ我慢できていた筈なのに……。
スコールと一緒だと恐いのは、ジタンにも言っていない『高所恐怖症』を口に出して伝えてしまったから、だろうか?
無理して我慢しなくても分かってもらえているという安心感が、スコールへの甘えと繋がり、……それで。
無愛想に見えるスコールだけど、内面は凄く優しいから、嫌だと思っていても口に出して言えず、そのままズルズルと自分のわがままな言動に引きずり回された挙句、話すのさえ嫌気がさしてしまったんじゃないか。
ボジョレーを飲んだ時もそうだった。
委員長に問い詰められた際の、ティーダやのばらたちの発言で分かったけど、元々乗り気じゃなかったスコールに無理やり飲めと絡み、しかも先に酔いつぶれて……やっぱり迷惑をかけた。
スコールは見た目も言動も年齢以上に見えるから、ついつい年下だって事を忘れて、安心して好き放題させてもらっていたけど……。
自分が楽しいと思う事が、スコールには苦痛だったのかも知れない。
きっと今までの我慢が積もり積もって耐え切れなくなった結果、スコール本人は自覚の無いままに、無意識に自分を避ける行動に出たのだろう。
きっと……そうなんだろう。

もう遅いかも知れないけど。
せめて一緒にいる時は、スコールに迷惑をかけないようにしなくちゃな。

「……無理はするな」という言葉が痛かった。
本当は「恐い」と喚いて、スコールにしがみつきたかった。
でも、そこで頼っちゃダメなんだと自分を戒めた。
自分に嘘を吐いても、スコールに負担をかけないように元気な振りをするくらい、どうって事無いだろ?
……それに、スコールは。
最近避けられていたけど、普段通りに話したら、以前のような鋭い突っ込みを返してきたじゃないか。
スコールの中で自分の存在が、『恋人』から『仲間の一人』になったとしても、スコールが暗くなっていたり、口数が少なくなっていたりするより、ずっと良い傾向だ。


扉に凭れたまま。
スコールから預かった鍵を握り締め、バッツがそんな事を考えていると――
遠くでスコールの悲鳴が聞こえた気がした。
急いで扉を開け外へ出ると、スコールの居場所を知らせるように、遠くの塔の上で、二つのクリスタルが煌いていた。

其の参・2
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