〈FF生誕&DFF一周年! 其の四・1〉

【@アルティミシア城】
次の目的地であるアルティミシア城に着いた時から、バッツの表情は浮かなかった。
ここアルティミシア城は、全マップの中でも、特に高低差に特化している。
しかも中央の螺旋部分は吹き抜け、螺旋に張ってある板はところどころが抜けており、最上層から下を臨めば、否が応でも三階立ての恐怖を味わえるという、正に高所恐怖症泣かせのマップなのだ。

5「……」
8「上は俺が見てくるから、おまえは下の方を探せ」
5「……あ、ああ」
8「宝箱を見つけても、一人で開けるなよ」
5「う、うん」
8「……大丈夫か?」
5「だ、大丈夫さ! 宝箱が見つかったら声かけるからな!」
8「……ああ」

挙動不審なバッツの態度に若干の不安を覚えながらも、スコールはアルティミシア城中央に位置する螺旋のへりをグラインドで登り始めた。
急スピードで小さくなるスコールの姿を見ているだけでも、実は怖いとバッツは感じている。
一人で戦ってる時は我慢できるんだけどなぁ。
ふうっと一つ溜息を吐いてから、バッツは首を横に振る。
ダメだダメだ。こうやっておれが依存してるから、スコールに無理させちゃったんだもんな!
おれが……しっかりしなきゃ!
「ふんっ!」と気合を入れて、バッツは最下層の探索を開始した。
高低差はあるが、面積としてはそんなに広くないマップなので、探すのにさほどの時間は掛からない。
ぐるりと最下層を一周りしたバッツは、肩を落とさずにいられなかった。
仕方なく中層――歯車が幾つも並んでいる場所へ移動すると、既にそこにはスコールが来ていて……。
バッツの姿を見つけると、憐れみの視線を向けてきた。

5「下の層には一個も無かったんだけど、上にはあったか?」
8「……ああ。言いにくいのだが……最上層の隅と一番高い柱の上にそれぞれ一つずつ置いてあった」
5「あー……、おれにとっちゃ最悪だ」
8「あとは、最凶軍団が出てくる宝箱がこの中層にあることを祈るだけだ」
5「うん、あのLv.100のEX軍団は、最上層では迎え撃ちたくないからな」
……だが、二人の祈りも空しく、最凶のイミテーション軍団は最後に開けた柱の上の宝箱から出現したのだった。
既にここまでの二戦で二人は体力をかなり消耗しているし、ましてバッツにとっては場所だけで精神力を費やす高所での連戦とあって、苦戦は必至だ。
落ち着いて戦えるなら、上にもデジョントラップが有る分、敵を嵌めやすいマップなのだが、そんな余裕はバッツには無い。向かってくる敵の攻撃をガードまたは回避で凌ぎながら戦うのがやっとだろう。
スコールは上のデジョントラップを利用することを諦め、バッツが戦いやすいようにと、ビートファングを多用し敵を下へと落として行く。
戦っている途中からそれに気付いたバッツは一段下で待ち構え、スコールの落とした敵が受身の体勢を取る前にゴブリンパンチか旋風斬で仕留めていくという戦法に徹する事にした。
この連携は面白いくらいに当たり、バッツはEXを維持したまま次々と敵を屠っていったのである。
途中、冷やりとさせられたのは、バッツがクジャとセフィロスと自分のイミテーションに囲まれた時くらいか。
バッツの危機には、スコールが魔法ガードのHP攻撃をクジャのイミテーションに集中したおかげで何とか事なきを得た。
悲しいかな、イミテーションは何体いようが連携して攻撃する事を知らない。
戦う道具として作られた特性のままに、近くに居る敵へ向かって遮二無二攻撃するだけなのだ。
バッツが囲まれたのは、たまたま三体の狙いがバッツに集中してしまったからであり、スコールがより近くに来ればターゲットは簡単に変更される。
無尽蔵の体力で戦える分、厄介な敵であることには間違いないが、二人が阿吽の呼吸で一体ずつ確実に倒していけば恐れる必要は無い。

――そして。
またしても最後に残ったのはバッツのイミテーション。
確率50%のはずの『オーディーン』は、またもやスコールをブレイクし、バッツのイミテーションに膨大なブレイブが付与されてしまったのだ。
スコールは出の早いゴブリンパンチから這々の体で回避するのがやっとの状態で、とても攻撃を繰り出す事など出来ない。

5「スコール! EXの時間切れまで逃げろ!!!」
言われなくても逃げている。逃げてはいるがエアダッシュで向かってきて、あっと言う間にゴブリンパンチを放ってくるのだ。
余裕の無いスコールは、回避を繰り返した挙句、上のデジョントラップに捕まってしまった。
ところがこれが幸いしたのだ。
最上層にワープしたスコールに向かって、バッツのイミテーションはひたすらエアダッシュをするが、フェンスによって進行を遮られてしまう。
普通にフェンスを壁登りすればスコールに辿りつくのだが、イミテーションにはその判断能力が欠けている。
下からその状態を見ていたバッツは、フェンスに頭突きを食らわせる体勢で尚もエアダッシュを試みている自分のイミテーションに背後から近づき、ゴブリンパンチと回避を組み合わせて大量のブレイブとHPを奪う事に成功した。
一撃を食らっても倒されない程度までイミテーションのブレイブが減れば、あとは2対1なので挟み込んで倒せば良い。
最終的に、バッツのEXバーストによって、自身のイミテーションはくぐもった断末魔の声をあげることとなる。
スコールもバッツも、終わってみれば荒い呼吸を整えられないくらいの大激戦であったが、ようやくこれで、ゲームとは言い難い連続戦闘は終わりを告げたのだ。

其の四・2
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